「いらっしゃーい!冷たい水菓子だよー!」
「いらっしゃい!」
賑やかな声があちこちから聞こえてくる。
色鮮やかな浴衣を身につけた人たち。
遠くでは橙の花火が上がる。
千鶴はそんな町の様子を見ながら、奥に見える神輿の近くに行こうと歩を進める。
神輿の近くには警備が付きもの。
きっとそこにあの人がいるだろうと思って、人の波に揉まれながら先に進む。
「お譲ちゃん、綺麗な飴玉があるよ。食べないかい?」
通りの端から声をかけられて、雑踏の間から首を伸ばす。
見ると、店の前には色とりどりの飴玉が並んでいた。
「わあー!綺麗!」
「味も最高だよ!一つどうだい?」
どうしようかと迷っていると、どん、と後ろから誰かがぶつかってきた。
振り向くと、浴衣姿の女の子が通り過ぎていく。
その髪には綺麗な髪飾りが付けられていた。
桜をあしらった薄い赤色の髪飾り。
「あ・・・」
いいなあ〜。
欲しいなあ、と思って周りの出店を見渡すと、通りの反対側にそれらしい店が見えた。
カランと下駄を鳴らして、千鶴は店へと向かう。
飴玉の店へ行く。 →
髪飾りの店へ行く。→