入り組んだ石畳の道。

その道に面した店からは、大人たちの楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
祭りの日はどこの食屋も繁盛しているようだった。

石畳をさらに歩いて行くと、
ちらほらとダンダラの羽織が見え始める。
ここらの店は酒好きが多く集まるため、夜の警備は重要だった。

夜にも映える浅葱色の羽織。
それが、あの人の位置を示す。
が、
千鶴の正体を知らない者には見つかってはならないため、千鶴はそ〜っと身を隠しながら先に進む。
前方にいる隊士に気を取られていると、突然背後から声をかけられた。

「そこの娘。こんな所でなにしてんだい。」

驚いて振り向くと、そこには酔っぱらった男が三人。
千鶴を見てにやにやと笑っている。

「えっ、いや、あの・・」

「これからもう一軒行こうかと思ってたんだ。付き合わねえかい!」

そう言って男は無理やり千鶴の手を引っ張る。
かなり酔っ払っているらしい。
掴む手の力が容赦なかった。

「いたっ!ちょ、ちょっとやめてください!放して!」

どうにか手を振りほどくと千鶴は走り出す。
その後を男が追いかけてくる。

「待ちなって!酒付き合ってくれよ!」

どたどたと追って来る男たち。

「も〜、酔っ払って!さいてー!」

千鶴はカラコロと下駄を鳴らして逃げる。




神社の階段を上る。→


路地に逃げ込む。 →