「男ってのは好きな人の前じゃ甘えたいんだよ。」
そんな会話を厨房の前で聞いた。
午後の“おやつ”を取りに来たは、おやつを持たずにくるりと向きをかえると、そのまま元来た廊下を引き返した。
甘えてもいい?(政宗編)
そのころ、政宗は自室でのんびりと煙草をふかしていた。
そろそろか、と思いながら紫煙を吐く。
・・・そのうちに、外廊下から聞きなれた足音が流れてきて、その音は政宗の自室の前でピタリと止まった。
「今日の菓子は何をもらって来たんだ?」
写った障子の影に向かって声をかけると「入ります」という声と同時に障子が開いた。
いつものように嬉しそうに菓子を抱えたがいるかと思ったら、そこにいたのは唇を少し尖らせて拗ねた顔をしただった。
「・・・What`s wrong?」
「・・・・政宗さま」
呼んではつかつかと政宗の隣に座り込む。
何事かと思い、政宗は煙草を机に置く。
「政宗さま。・・・・・甘えてくださいよ。」
「・・・What?」
「だから、甘えてください。」
「・・・・」
意味がわからない、と政宗は苦笑する。
「なぜだ?」
「・・・な、なぜって・・・・だ、だって政宗さまって私に甘えたことないから」
「・・・・・」
答えになってるようでなってない。
「甘えてほしいのか?」
聞けば「ほしい」とは頷く。
「Ha-n・・・・、Say honestly.(正直に言えよ)」
「え?」
「なにか理由があって俺に甘えてほしいんだろ?」
「うっ・・・え、ええと・・・・」
言い澱むに政宗は器用に方眉をあげて、ニヤリと笑う。
この顔は、何がなんでも聞きたいと思ったことを言わせる顔。
はあ、と小さく息を吐くと、は諦めて理由を話し始めた。
理由を聞くと政宗は声をあげて笑った。
「だ、だって!政宗さまって全然私とかに甘えてくれないから!ちょ、ちょっとふ、不安になっただけだもん・・・・」
しりすぼみになった声とは逆にの顔はどんどん真っ赤になっていく。
「You`re lovely.(可愛いな)」
言いながら政宗は口元を抑えながら笑っている。
「もう!だから理由言いたくなかったんですぅ・・・・」
俯いて拗ねるに政宗はクス、とひとつ笑うと「OK」と言って無造作にの手をとる。
驚いてが顔をあげると、目の前に政宗の顔があった。
その左目は優しく微笑んでいて、それだけではドキドキして息苦しくなる。
「。」
「は、はい」
ふいに政宗の顔が近付いてきての左耳にその唇を寄せた。
かすかに唇が耳に触れ、はピクッと肩を揺らす。
「・・・・・・・甘えてもいいか?」
ドッキンと心臓が脈打った。
「――――」
少し掠れた政宗の声が、直接耳に流れ込んでくる。
自分で甘えて欲しいと言っておきながらも、いざ言われるとドキドキしてしまう。
「安心しろよ。ちゃんと、俺はあんたが好きだぜ。」
「っ・・・〜〜〜〜」
そう言われて胸がキュウッと締め付けられた。
顔を真っ赤にしながらは照れくさそうに、コクンと頷いた。
おまけ
↓
↓
↓
「甘える、か。・・・・ん〜・・・・OK。じゃあまずはここ。ここにkissしてくれ。」
「ほ、ほっぺ、ですか」
「Yes.」
「・・・・・」
チュッ
「次はここだ」
「おでこ?」
チュッ
「次」
「まぶた・・・」
チュッ
「最後はここ」
「んっ―――」
「――Shit.つい自分からkissしちまった」
「はふ・・・・政宗さま?」
「から口付けてくれ。ふか〜くな。」
「え!?っ〜〜〜〜」
「意外に楽しいなこれ。クセになりそうだ。」
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